高校生で朝いつも吐き気があって学校にいけない・・いつも吐き気があるんです・・なんていう方いますか?
それは起立性調節障害の症状かもしれません。
起立性調節障害は思春期の高校生ぐらいでなることが多く不登校になる可能性があります。その吐き気はどこからくるものなのでしょうか?
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目次
1.起立性調節障害
起立性調節障害とはどんな病気/症状でしょうか?
人は起立すると、重力によって血液が下半身に貯留し、その結果、血圧が低下します。健康な人では、これを防ぐために自律神経系の一つである交感神経が興奮し、下半身の血管を収縮させ血圧を維持します。また、副交感神経活動が低下し心臓の拍動が増加し心拍出量を上げ、血圧を維持するように働きます。
ところが、起立性調節障害ではこの代償機構が破綻して血圧は低下し、脳血流や全身への血行が維持されなくなります。そのため、立ちくらみやふらつきが起こってきます。血液による酸素や栄養の供給が悪いので、すぐに疲れたり、また疲労からの回復が遅れます。さらに脳血流が悪いために、思考力は低下し、集中力もなくなってきます。
心臓は代償性頻脈を起こすため、起立状態や少しの運動で息切れ、動悸を起こすようになり、とても身体が辛く感じます。身体を横にすると全身への血流が回復するため、このような症状が軽減し身体が楽になります。起立性調節障害の子どもは、ごろごろと横になることが多いのはこのためです。
ところで自律神経の活動性には24時間周期の日内リズム(概日リズム)があります。
たとえば、人は早朝になると交感神経活動が増えて身体を活性化し、夜には副交感神経活動が高まり身体をクーリングさせ、休養させます。ところが、起立性調節障害では、午前中に交感神経が活性化せず、5〜6時間以上も後ろにずれ込んできます。
その結果、朝に身体が休止しているような状態になります。その一方で、深夜になっても交感神経の活動性が下がってこないので、夜は身体が元気になり、寝つきが悪くなります。一見、生活リズムが乱れているように見えるのですが、その根本原因は自律神経系の日内リズムが後方にずれこんでいることにあります。
日本小児心身医学会HPより引用
2.起立性調節障害の症状
- 朝なかなか起きられない
- 朝登校前に吐きこち気がする
- 立ちくらみ
- 動悸
- 息切れ
- 食欲不振
- 倦怠感
- 頭痛
- 顔色が悪い
春から夏にかけて悪化することが多く、一日の中で朝が調子悪く午後になると改善するという傾向があります。また低血圧による諸症状が引き起こされます。
3.起立性調節障害と不登校
起立性調節障害の場合には朝起きられない、朝に吐き気がするなどの身体症状が出てしまうために症状が重い人ほど高校生に限らず不登校になる確率が高くなってしまいます。
また起立性調節障害は自律神経の乱れから起きていると考えられるため起立性調節障害だけでなくストレスやその他の要因の積み重ねがら不登校が起こるとも言えます。
起立性障害からの不登校克服についての参考情報はこちらをご覧ください。
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4.起立性調節障害の診断の仕方
大症状
A.立ちくらみ、あるいはめまい。
B.立っていると気持ち悪くなる。または倒れる。
C.入浴時、または嫌なことを見聞すると気持ち悪くなる。
D.少し動くと動悸や息切れがする。
E.朝起きが悪く午前中の調子が悪い。
小症状
a.顔色が青白い。
b.食欲不振。
c.腰痛をときどき訴える。
d.倦怠、易疲労。
e.頭痛。
f.乗り物に酔いやすい。(吐き気)
g.起立試験で脈圧狭少16mmHg以上。
h.起立試験で収縮期血圧低下21mmHg以上。
i.起立試験で脈拍数増加1分21以上。
j.起立試験で立位心電図T1 T2 の0.5 mV以上の減高、その他の、変化。
以上の症状のうち大症状1と小症状3以上、または大症状2と小症状1以上、または大症状3以上で器質的要因がなければ起立性調節障害の疑いがあります。
起立試験とは仰臥位10分後とその後10分間起立し収縮期血圧、拡張期血圧、心拍数、心電図を測定して記録します。
5.起立性調節障害の原因
血流や自律神経の乱れ、性格や、親子の問題、学校での人間関係などストレスその他複数の要因が重なり起きているものと考えられています。
性格的にはまじめ、心が繊細で周囲に気を遣うタイプが多く不登校になる子供と共通しています。
6.起立性調節障害の治療
6-1.薬物療法
西洋薬 : 昇圧剤の処方 (血圧をあげて交感神経を優位にする)
漢方薬 : 漢方医学的には気の不足である気虚(ききょ)や血の不足である血虚が考えられるため気や血を補う処方
主に処方される漢方薬は下記のものが多いようです。
半夏白朮天麻湯
●「半夏白朮天麻湯」は、漢方の古典といわれる中国の医書『脾胃論[ヒイロン]』に収載されている薬方で、低下した胃腸機能を高め、めまいや頭痛を改善するのに用いられます。
●めまいは、平衡の働きがくるった時に感じる異常な感覚で、漢方ではめまいがおこる原因の一つに胃腸機能が低下した時におこりやすい水毒(水分代謝異常)によると考えています。
●胃腸が弱く、下肢が冷え、めまい、頭痛がある場合に効果があります。補中益気湯
「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」は、“中(体の内側)を補い気を動かす”という意味で名付けられています。胃腸のはたらきを高め、食欲を出すことで「気」を増やし、「気」を上のほうに動かしてめぐらせることで、疲れを改善していく処方です。
十全大補湯
「十全大補湯(じゅうぜんだいほとう)」は、“完全に大いに補う”という意味で名付けられています。胃腸のはたらきを高め、食べ物の栄養分を消化吸収できるようにして「気」と「血(けつ)」を増やします。同時に、「気」「血(けつ)」をめぐらせ、全身にいきわたるようにします。
kracie HP より引用
漢方薬に関しては市販薬でなく漢方薬局に出向くもしくは受診したお医者様に実際の状態を見てもらい調合してもらうとよいでしょう。
6-2.生活改善
- 規則正しい生活を送る
- 水分を1日1.5L以上摂取する
- 塩分を1日あたり10~12g摂取する
- 起立する際にはゆっくりと30秒以上かけて行う
6-3.心のケア
起立性調節障害で学校へ行けなくなっている高校生などは周囲の理解が得られずに悩み苦しんでいる状態にあることが多いです。
周囲は理解してあげるとともに心のケアをしてあげる必要があります。時にはカウンセリングを受けたり、日ごろからストレスを解消するように心がけ自律神経を整えるようにしましょう。
7.自律神経を整える
7-1.規則正しい生活
現代の高校生は寝る時間が遅くなりがちです。また朝陽を浴びることは自律神経を整えるのに有効です。規則正しい生活を送り、適度な睡眠をとることはストレスをためないためにも大事ですね。
朝おきたらカーテンを開ける習慣をつけて朝陽を浴びるといいですね。でも天候や季節によって朝は暗いこともあります。光目覚まし時計という便利なものもあります。こういうものもうまく取り入れて適度な睡眠をとり、ストレスに対処していきたいですね。
7-2.運動やストレッチ
高校生なら体育の授業があるとは思いますが、部活が運動系でないと意外と運動不足かもしれません。運動は疲労を回復するのに必要な睡眠や栄養と並んで大切な要素の一つです。
運動しよう、しなくちゃと思うとそれもストレスになってしまいますよね?まずは無理なく続けられるのが理想です。そのためにはジムに通うとか何かを習わないと・・というのでなく手軽に取り入れられるのが良いと思います。家でできるエクササイズや家でできるヨガなどでも良いですね。
普段エスカレーターを使っているなら、階段を使う。一駅手前で降りて目的地まで歩く。電車では座らない。これくらいなら取り入れやすいですよね?
7-3.お風呂でゆっくりリラックスする
高校性なら朝、晩のシャワーはかかせなくても湯船につかることはしていないのでは?たまには入浴剤を利用して、ゆっくりと湯船につかるとストレス解消に役立ちますし血行も促進されますので寝つきもよくなります。
7-4.アロマ
アロマを試してみてはいかがでしょうか?今は¥100ショップで買えるものもあります。
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- ラベンダー : 心と体をリラックスする効果あり。安眠効果も。
- オレンジスイート : 気分を明るくする・リフレッシュ、リラックス効果
- カモミール : 鎮静作用があるのでストレス軽減に
- プチグレイン : 心を落ち着かせる効果があるので不安やプレッシャーを感じている方に
7-5.好きなことを思い切りする
高校生ともなると大学受験に向けて日々勉強付けの毎日・・塾と学校と家の往復しかしていない・・なんていう方もいるのではないでしょうか?たまには息抜きが必要です。歌が好きならカラオケもいいですし、お風呂で一人大声で歌うのもOKです!
漫画を読むのがすきならいつもよりたくさんの時間を漫画を読む時間にあてる。満足するまで好きなことをときにはする時間が必要ですよ。息抜きをきちんとしたほうが勉強もはかどります。
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8.まとめ
高校生で毎朝登校前吐き気が・・という方は起立性調節障害かもしれないです。
心配であれば医師の診察を受けたうえで、日ごろから自律神経を整えるという意識を持つと様々な病気の予防にもつながりますよ。
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