過保護と、過干渉の違いわかりますか?
どちらも「過」という文字が使用されていることからやりすぎな印象です。
干渉のし過ぎ、保護のし過ぎ??具体的にはどういうことなの?そしてその違いから子供に及ぼす影響が・・
目次
1.過保護とは
過保護とは子供が望んでいることを必要以上にしてあげてしまうことをいいます。
過保護に関しては精神科医の佐々木正美先生がやりすぎることはないと仰っているように、子供の成長には必要なことです。
ただ、子供が欲しがっているものをそんなにあげてよいのか?と過保護な行為を心配する思う方もいると思います。
子供がほしいからといつまでもおっぱいをあげたり、おんぶしてと言われておんぶをする。
よく抱き癖がつくからあまり抱っこしないほうがいいなんて聞いたこともあるのではないでしょうか?
これらは癖になるのではないか?過保護だといつまでも甘えて自立できないのではないか?と親は過保護を心配しますが、逆なんです。
子供が望んでいること(=過保護)をしてあげてれば欲求が満たされて、愛情を感じます。してもらえない子供よりも早くに欲求がみたされますから、満足をするので過保護は自立へと繋がります。
逆に過保護にしてもらえない子供はいつまでも満足できず、愛されていないと感じてしまうこともあります。そのために、欲求が長引きます。
では何か欲しいと言われて何でも買ってあげる過保護な行為はいいの??と思いますよね?
これは以前精神科医の佐々木先生と不登校の問題に取り組まれメディアにもよく出演していらっしゃる伊藤幸弘さんとの講演会で聞いた話です。
息子がお父さんに、あれこれ欲しいと買わせていたそうです。普通はここで、そんなことしたら、大人になった時にも親に買ってもらうのが当たり前になってしまうのではないか?過保護によって莫大な費用のかかるものを要求するようになるのでは?と心配になりますね。
でも違いました。佐々木先生の仰るように過保護によって欲求が満足され、自立し以後親にものをねだることはなくなったそうです。
もちろん場合によっては何でも買ってあげてよいと言えないですし、わがままだと判断できることもありますから、これはあくまで各ご家庭での判断となります。
また子供がまだ小さい時にお手伝いをしたがることがあると思います。
危ないから、自分がやった方が早いから、ちらかるからあとが大変・・などとやらせないこともあると思いますが、これはやらせてあげるのが正解です。子供がやりたいことですから、やらせてあげるのが過保護ということになります。
やって失敗したとしてもそこから学びます。
またやらせてもらえないことで、愛情を感じられないとともに自分を信じてもらっていないという気持ちになり不満が残ってしまいますので過保護はぜひしてあげてください。
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2.過干渉とは
過干渉とは子供が望んでいないことを親の判断や親の価値観や理想からやってしまうことです。
過干渉は先回りして親の価値観を押し付ける行為ともいえるでしょう。
- 着替えができる子供に時間がないからと親の都合で着替えを手伝う
- 明日の支度を親がしてしまう
- 親がスケジュールを決めてしまう
- 親が進路を決めてしまう
- ちらかっている子供部屋を親がかたづける
- 習い事を親の希望でさせる
- メールチェックや手紙写真などを勝手にみる
このほかにも色々と親の価値観と理想のもとに子供のためと思って先回りをし、あれこれと指示を出してしまっていることが過干渉となります。
そうはいってもある程度は~しなさい。
しなくてはならないことなど躾はしなくてはなりませんから、判断基準としてまず大事なのは子供が望んでいるか、望んでなくても躾としてやらなくてはいけないことなのかどうかというところが過干渉かどうかだと思います。
過干渉が及ぼす危険性について次に書いていきたいと思います。
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3.過干渉の危険性
3-1.自立できない・自主性が育たない
過干渉により親が常に先回りをして指示を出しているため、子供は自ら考え、行動をしなくても指示通りに動けばよいので当然ながら自立ができません。
そして自主性も育ちません。過干渉によって常に指示待ちするようになってしまいます。
3-2.人のせいにする
例えば母親が次の試験に備えて、このページのこの部分とこのページのここを覚えるのよ。
ここは重要よと指示を出して勉強をさせている過干渉の場合にその指示がなくなれば勉強はしなくなりますし、勉強の仕方がわかりません。
そして試験の点数が悪ければ「お母さんが教えてくれなかったからできなかった」と人のせいにします。
実際にあった出来事です。お母さんは教科書の暗記させたい部分にマーカーをひき、手作りの問題集作りを中学までずっとしていました。
高校になってやめたとたんに、成績は下がり、母親のせいにしたそうです。いつまで子供の勉強を見続け過干渉を続けますか?
3-3.自信のない子供になる・思考停止
例えば子供が「これがいい」と言っても、親が「でもねこっちのほうが~だからいいのよ」そして学校や就職に関しても「○○以上のレベルじゃないとだめよ。」「○○学校/会社だと認めないわよ」という発言が幼いころからずっと大人になるまでその価値観を押し付けれていたら・・過干渉もはや洗脳です。
「私が意見を言っても聞いてもらえない」「自分の好みを言っても無駄だ」「○○レベルより下の私はダメな人間なんだ・・」という心理となり、自分を否定的にとらえ自信がなくなってしまいます。(自己肯定感の喪失)
例えば常に勉強に関して口うるさい過干渉な母親が90点以上でないと認めてくれない。もちろん子どもは頑張ります。でも90点以上取れなかったらどうしよう・・そしてとうとう90点以下をとってしまったら・・こんな自分は母親から認めてもらえない、嫌われる、こんな自分はダメなんだと思ってしまいます。
自分の意見を言ったところでそれを過干渉な親には受け入れてもらえないわけですから、考えても無駄だと思うようになり、考えることをやめてしまうようになります。
3-4.失敗を恐れる
本来であれば、子供の時から失敗と成功を繰り返し、そこから学び成長をします。でもその失敗や危険を回避するように母親が過干渉な対応をしているため、失敗をしたことがありません。
なので、はたからみて大した失敗でなくても失敗をした時に立ち直れないことがあります。
過干渉は失敗からの学びを奪ってしまうのです。
3-5.委縮してしまう
親に意見を押し付けられ、時には母親にきつく叱られる、ヒステリーを起こされる。
食事の際には躾だと箸の上げ下げ、姿勢を注意し食事の間中に注意し続ける過干渉。食事が楽しくなくなりますね。
また前述のように○点でないと~してあげないわよ。もしくは○点なら~買ってあげるという条件つきの愛情の過干渉も危険です。
このようにいくら躾と思っていても言い方や頻度によってはいつ怒られるかと常に人の顔色を窺い母親に対して委縮してしまいます。親の過干渉によって自分の意見を持たないだけなく、意見したり、話すことすら怖くてできなくなってしまうかもしれません。
もちろん躾は大事です。でも注意の仕方や頻度は考慮すべきではないでしょうか?
しかし度が過ぎる過干渉はと子供は家にいても安らぐことができません。
3-6.無気力・神経症や不登校・ひきこもりになる可能性がある
過干渉が続けば続くほど、考えても無駄なため無気力になってきて、神経症を発症したり、不登校やひきこもりになってしまう可能性があります。
親の過干渉な言動が知らず知らずストレスとなり、自律神経が乱れてしまって不眠や頭痛などさまざまな症状を引き起こします。
不登校やひきこもりになった場合に本人に聞いたところでどうして学校に行けないのか、外出できないのかわからないのです。
残念ながら不登校やひきこもりの子供の両親に過干渉が多いのも事実です。
不登校の親の特徴についてはこちらに書いています。
よくあるのが、子供のころから過干渉な両親により失敗を回避し受験も勝ち続け、一流企業に就職し負け知らず。でも実際社会に出てみると失敗することもありますし、自主的に考え、行動することが要求されます。
でも彼らは過干渉な両親により全て指示だしをされてそれを実行してきたため自主的に考え行動するということができません。
むしろ指示を与えてくれない人が悪いと思ってしまいますし、何か失敗をしても策を練ることができず、自信を喪失しひきこもりになってしまうという大人が増えてきているのが現実問題です。
親の加護があってレールに乗れているうちは良いけれど脱線してしまうと、過干渉にされてきた子供たちはどうして良いかわからないのです。
3-7.共依存になる可能性がある
常に親が段取りし、あれをしなさい、これをしなさいと指示をするのが当たり前の過干渉状態だと、それに慣れてしまい、それを受け入れてしまっている場合には親と一緒にいるのが当たり前、親がいないと何もできないし心理的に不安になります。
大人になっても母親が気になって仕方なく、デートの間も母親へラインしたり、家電話したりして、自分より母親や父親が好きなのではないか?と言われて別れてしまったという経験談は多いです。
もしも結婚にまで至ったとしてもすぐに実家に帰ったり、母親や父親が遊びにきたりして結婚相手がうんざりするというケースもあります。
過干渉な母親が子供が自分の生きがいとなっている場合にはなりやすい傾向です
4.まとめ
過保護と過干渉の違いはおわかり頂けましたか?過保護はしてあげてください。そして過干渉は今すぐ改めることをおすすめします。
残念ながら親も歳をとります。子供の危険をいつまでも回避することはできないのです。子供が自立できるためにも過干渉をやめることは必要なのです。
わかっているけれど、過干渉がやめられないという方。カウンセリングを受けてみませんか?お問い合わせフォームより、ご連絡ください。ご案内をお送りいたします。
お問い合わせだけでも構いませんので、お気軽にどうぞ。
こちらの記事もご覧ください。
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