引きこもりは人によって原因はそれぞれですが、発達障害故の生きづらさから引きこもりになる割合も多いです。
実際のところ引きこもりの発達障害の割合はどれくらいなのでしょうか?
発達障害故の引きこもりになる原因についても確認していきましょう。
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目次
引きこもりにおける発達障害の割合
NPO法人全国引きこもりKHJ親の会における調査によると、引きこもりの男性で26.3%,女性で15.8%の割合で発達障害、もしくは発達障害と思われるというデータがあります。
男性で4人に1人、女性は6人に1人程度の割合で引きこもりで発達障害が疑われる方がいるということです。
一般的には発達障害の割合は軽度も含めて1割程度、つまり10人に1人とも言われていますから、引きこもりにおける発達障害の割合は多い傾向にあるといえるでしょう。
また厚生労働省研究班が2007年~2009年に行った調査によると、16歳~37歳の引きこもり相談者184名のうち48名(32.2%)が発達障害と診断されたそうです。
やはり引きこもりにおける発達障害の割合は高いといわざるを得ません。
発達障害で引きこもりの割合が多いのは、ストレス耐性が弱いため機能不全家族で育ったり、学校でいじめなどがあると、ストレス反応を示して不登校や引きこもりにつながると言われています。
また不登校にならずに済んでいたとしても社会適応が難しいため、その後引きこもりになりやすい傾向にあるともいえるため割合として発達障害が多いといえます。
そもそも発達障害だからこその生きづらさやそれゆえに不登校や引きこもりになる要因について確認してみましょう。
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発達障害だからこその生きづらさ
発達障害の特性からくる生きづらさ・・
その要因が重なり、不登校や引きこもりになってしまいます。
発達障害の特性から引きこもりになる要因についてみていきましょう。
注意力にかける
- 忘れ物が多い
- 物をよくなくす
- 注意力を持続できない
- ルーティンを忘れる
- 片づけができない
このため発達障害の場合には、何度も同じミスを繰り返してしまうことにつながり、厳しく叱責される割合が多くなってしまいます。
中には人格否定をするような発言をする心ない人もいたりすると、ただでさえ自己否定しているのにますますつらくなり、不登校や引きこもりへとなってしまう割合が多くなるのです。
衝動的な行動や感情のコントロール
- 落ち着かない
- 席を離れることが多い
- 静かに過ごせない
- 順番を待てない
- 話を最後まで聞くことができない
- 気分が変動しやすい
- 計画性がない
- 興味関心の偏り
- 癇癪をおこす
- 何かに依存をする
衝動的な行動をとるというのは発達障害でない人からすると理解できず、白い目でみられたり、疎外感を感じるだけでなく、自分がその場にいることがつらくなり、学校や社会での居場所がなくなり、不登校や引きこもりになってしまうと考えられます。
また感情のコントロールができないため周囲がひくほど感情あらわに怒ったり、静かにしなければいけない場面で興奮してしまったり、周囲から煙たがれ、変わり者という存在になりかねません。
そのため孤立することも多く不登校や引きこもりになりやすいともいえます。
また場合によってはこれらの発達障害の特性からいじめを誘発してしまい、不登校や引きこもりになる割合が多くなるともいえます。
学習障害
みんなができることが自分はできない。何度やってもできないとなると、自信がなくなり自己肯定感が下がります。
自分はできなくても他のみんなができていれば学校の勉強や会社の研修はどんどん進みついていくことが難しくなってしまいますから不登校にもなりやすく引きこもりにつながるわけです。
空気を読めない
空気を読めないという発達障害の方はどうしても浮いてしまいがちです。
喪に服す場面で大きな声を出したり、話を聴かないといけないときにしゃべり始めたり・・・
白い目でみられたり、協調性がないと叱られたりしかねないため、自信を失い、引きこもりや不登校につながってしまう割合が高くなるのです。
主には上記のような発達障害の特性から孤立にもなりがちです。
それゆえ生きづらさを感じたり、自己否定をして不登校や引きこもりへとなってしまうと感じられます。
また発達障害である自分とほかの人と比較してギャップを感じその劣等感に苛まれてしまうのです。
引きこもりの親を対象としたアンケートの回答では、発達障害の疑いはあると感じながらも受診していないケースや、医師から告げられても受け入れられない、もしくはその後なにもしない人の割合が多いと感じました。
発達障害の発見の遅れや親がそれを受容できないことも対策の遅れを招きます。
発達障害の特性を本人の周囲も発達障害とは思っていないため「変わっている」「傲慢」「自分勝手」など周囲にネガティブな印象を持たせ、劣等感や疎外感を感じ、無気力となり不登校や引きこもりになる要因につながるとも感じました。
では発達障害の引きこもりの対策として何をしていったらよいのでしょうか?
発達障害の引きこもりへの対策
早期発見
発達障害だからなのか、性格なのか・・
発達障害と診断を下されることに恐れを抱く方は多いようです。
そのため受診を回避して不登校や引きこもりになってから受診を初めてして発達障害とわかるケースも多いです。
しかし引きこもりになっている人の成育歴を調べていくと、過去に幼稚園の先生や、小学校の先生に発達障害の疑いがあるといわれたことがあるというケースが多くみられます。
その中で実際に受診するケースはわずかです。
不登校・引きこもりの相談を受けていても同じように、発達障害の疑いはあると言われているが、受診はしていませんとお答えになる親御様が多いです。
背景としては、実際に「発達障害」と診断が下ることの恐れや不安があるようです。
しかし発達障害の方と触れ合うなかで感じるのは、大人になってから発達障害と診断されるより、幼少期に診断を受け、療育を受けたり、発達障害と向き合うほうが、生きづらさを感じづらくなるのではないかと思うのです。
中には発達障害と診断がくだされても「普通」にこだわり、支援級に入れずに普通級にいれる親御さんがいます。
これは親のプライドが邪魔をしたり、偏見などを恐れているのかと思いますが、発達障害の特性を理解した指導やサポートを受けるほうが、後々を考えるとその子のためになるのではないかと思うのです。
実際に生きづらさを感じて悩んでいた方が受診して自分が発達障害だとわかって、すっきりした、悩まなくなったと仰る方もいらっしゃいます。
療育
発達障害の子供の療育について効果があるかと言われたら、ある方はすべて経験であり、効果はわからないと仰っています。
ただ、療育がなければ、何が苦手かもわからないし、苦手なことはやらないから、やってよかったというのです。
また単に変わった子供だとか、育てにくいとか感じるよりも発達障害であり、その特性からくる言動なのだとわかれば、受容できますし、関係性も良好に保てます。
発達障害とわからないままむやみに叱ったり、感情あらわに怒ったりすれば子供は親に対して安心感を持つことはできないでしょう。
すると次第に自己否定したり、劣等感をもったりするようになります。
ただでさえ社会に出れば周囲と比べられ、自分でできないことを感じ、落ち込む割合がたかいのに、親からも否定されるような言動をされたら、より一層自己肯定感は下がってしまいます。
投薬指導
またADHDの場合には薬によってその症状を緩和させられるものもあるのです。
- 短気
- 注意散漫
- 強い不安
- 衝動性
これらの症状は薬物療法で8割がた改善するそうですから、発達障害の診断をうけ、適切な治療を受けるというのは引きこもり回避をするためにもよいといえます。
障害者手帳交付・発達障害者支援施策
診断が下れば申請をすると障害者手帳の交付を受けることができます。
もちろんそんなのが必要でないといえばそれでいいでしょう。
ただ障害者手帳の交付を受けることでメリットもあるのです。
ただしくは精神障害者保健福祉手帳といいます。
対象となるのは全ての精神疾患で、次のようなものが含まれます。
- 統合失調症
- うつ病、そううつ病などの気分障害
- てんかん
- 薬物やアルコールによる急性中毒又はその依存症
- 高次脳機能障害
- 発達障害(自閉症、学習障害、注意欠陥多動性障害等)
- その他の精神疾患(ストレス関連障害等)
ただし、知的障害があり、上記の精神疾患がない方については、療育手帳制度があるため、手帳の対象とはなりません。(知的障害と精神疾患を両方有する場合は、両方の手帳を受けることができます。)
また、手帳を受けるためには、その精神疾患による初診から6ヶ月以上経過していることが必要になります。精神障害者保健福祉手帳の等級は、1級から3級まであります。
厚生労働省 みんなのメンタルヘルスより
手帳の交付を受けるとさまざまなメリットがあります。
- 公共料金の割引
- 税金の控除・免除
- 障害者職場適応訓練の実施
- 手当の支給
- 公営住宅の優先入居
また就労の際のメリットは
- 2.0%の障害者枠を民間企業で使える
- ハローワークでの専門援助部門の支援
- トライアル雇用の活用
- 職場環境や内容、時間について考慮してもらえる
- ジョブコーチの支援を受けられる
市区町村により異なることもありますが、主に上記のメリットがあります。
引きこもりを脱出して就労しても上記のサービスを受けることができれば、発達障害の特性に合った仕事を見つけ理解ある職場を見つけやすいのではないでしょうか?
また発達障害であれば就労支援を受けることができます。
就労のためのノウハウを学ぶ講習会を受けたり職場実習などもすることが可能です。
福島学院大学の心療内科の星野医師曰く『発達障害の彼らが職業を選択する前に、就労支援とキャリアガイダンスがなされることが極めて重要』とおっしゃっています。
そのためにも発達障害の早期発見と、理解そしてしかるべき支援を受けることで引きこもりを回避することができるともいえます。
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発達障害への理解と受容
発達障害というのはきっとかなり前から存在するもののはずですが、認知され始めたのは最近ではないでしょうか?
そうはいっても「発達障害」という言葉を知ってはいても発達障害の特性を理解している人はまだまだ少ないといえます。
そして発達障害と自覚している人も当事者すべてではなく、一部の人は前述のように親が受診させず気づいていなかったりしてなんだか周囲の人と違うと感じながらも自覚していない人もいるでしょう。
まずは親や周囲が発達障害に関し理解を深め受容することが必要です。
それは引きこもりに関しても同じです。
なぜ働かないんだ、家にこもっているんだというのではなく、働けない、引きこもる心理状態にあるということを受容する必要があります。
正論をふりかざして、進学しないなら働くべきだ、いくつまで引きこもっているんだといっても、親子の亀裂を生んだり、相手に壁を作らせてしまい、ますます引きこもりが長引くばかりです。
正論は引きこもり当事者にとっては凶器となります。
ひきこもっている当事者も決して怠けているのではなく、働きたくても働けない・・外に出たくても出られないのです。
それを正論をもって攻め立てても自己否定してしまい、ますます引きこもり解決から遠のくだけです。
下記の対策と接し方が引きこもり解決につながるかと思います。
- 不安感が強くストレスを受けやすいので、大きな声で注意したりしない
- 急な予定変更などはできるだけ避け事前に予定を知らせておくことで不安感を和らげる
- 許容範囲内で本人のこだわりを受け入れる
- 期限設定には猶予をもつ
- 話は簡潔にし、記録などを残す
- 褒めるポイントを見つける
- 注意などは必要最低限に
- パニックを起こしそうなときは一人で冷静になれるよう配慮する
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発達障害や引きこもりへの理解のある支援者
引きこもりの対策として支援者がいるというのもよいことだと感じます。
引きこもり当事者だけでなく、親、家族も不安に苛まれた時にその不安を解消してくれる支援者がいるのは、引きこもり解決へ寄与すると思います。
家族が不安を抱えているとそれは引きこもり当事者にも伝わります。
KJHの調査の回答から感じたのは、支援する人であっても発達障害や引きこもりに関して理解や知識がない方が多いということです。
たしかに教師だからといって不登校に対して本当に理解したり正しい知識をもっている教師は少ないとも感じます。
文部科学省の指導を受けているにもかかわらず、理解がないのは、文部科学省も正しく理解していないのかもしれません。
実際に息子が不登校になって、不登校に関してよくわかっている教師はいないのだとも思いました。
また医師も同じです。
ただ薬だけ処方してなんとかしようとする医師もたくさんいます。
時には不登校や引きこもりは親が原因だと、親を攻め立てる医師もいるそうです。
引きこもりや不登校を解決するにあたり本人が一番苦しんでいるはずです。
そして、その親も同じです。
親がまず発達障害について理解を深め、場合によっては受診をしたり、相談機関を探したりすると思いますが、中には理解のない支援者もいるようです。
私は主に親向けの不登校・引きこもりのご相談にのっていますが、発達障害への理解は万全とはいえないかもしれませんが、それなりに知識はあるつもりです。
そして不登校や引きこもりに関してはもちろんそれを経験した親でありカウンセラーであるつもりです。
しかし不登校や引きこもりの支援をしているにも関わらず、下記のような理解のない対応をしている方がいるというのは驚きました。
下記が引きこもりの親御さんが回答した悪い引きこもり支援の一例です。
- 過剰なコミュニケーション、強制的
- 常識の押し付け
- 押し付けるような支援
- 威圧的な態度,怒鳴る,暴力
- 無理をさせる何の裏づけもない励まし,当事者より社会の目線にあわせた支援(特に就労支援)
- 薬物療法のみの支援
- 頭でっかちな支援者は家族にとっても当事者にとってもマイナスにしかならない
- 本人の気持ちを十分理解しないでアドバイスする
- 本人の意思や考え方を否定する
- 感情的になる
- 担当者が仕事としてのみ捉え,寄り添う気持ちがない
- 知識のみの担当者
- 本人が引きこもりとわかるような接し方又指導
- すぐ就学・就職につなげようとする姿勢
- 本人を説教したり否定的な言葉がけをしない
- 常識だからと言う言葉や思いやりのない言葉
このような対応をする支援者がいたらすぐに違うところに相談するか、担当を変えてもらうほうがよいと思います。
発達障害に限らず引きこもりの支援をする方の言動とはとても思えません。
そした最終的には良い支援者であることと、当事者やご両親との信頼関係と相性だと私は思っています。
信頼関係があり、相性がよいとスムーズに支援もできますし、ご両親も引きこもりに対しての理解が進み、よいサポートができます。
すると引きこもり解決も時間が短縮できると感じます。
一方で相性があまりよくなく、信頼関係がきちんと築けないと、相談に乗っていてもそれは知っているといって、否定的な態度をとられたことがあります。
知っているのにできていない現実があるから相談にいらしているはずなのに、なぜ受け入れようとしないのかな?と感じてしまうこともあります。
相談にのっていて、あとにも先にも1名だけでしたが、やはり相性というのはあると思います。
そうはいってもその方も1つ役立つアドバイスをもらえたといってくださいましたが(^^;
双方が信頼しあう関係性がないと相談しても引きこもり解決につながりづらいと思います。
あとその支援者が相談者の不安をきちんと受け止めてくれるかどうかというの大切だと私は思っています。
当事者や家族だけではなかなか引きこもり解決は難しい部分もありますし、不安を抱えているとそれは連鎖して引きこもりの解決は難しくなります。
第三者の客観的な意見、サポートを取り入れて引きこもり解決に臨みたいですね。
発達障害の特性を活かせる就労
発達障害だからといって、必ずしもみな引きこもりになるわけでもなく偉人も存在します。
発達障害の偉人たち
- ビルゲイツ
- へミングウェイ
- トム・クルーズ
- スピルバーグ
- マイケルジョーダン
- ガリレオガリレイ
- ナポレオン
- ウィル・スミス
- アガサクリスティ。
どうですか?すごい方ばかりですよね?他にもたくさん偉人で発達障害の方はいらっしゃいます。
発達障害の特性を活かした職業につければ引きこもり解決に繋がります。
そのためその方に合う職業を見つけることが重要となります。
発達障害に向いていない仕事
同時に複数の仕事をこなしたり、臨機応変な対応を求められる仕事
協調性や熟練スキルを求められる営業や接客
ミスが大事故につながるような交通や運輸に関係する仕事
管理能力が要求される経理、人事など
発達障害に向いている仕事
興味関心の偏りがある発達障害ですから、その興味対象に関連した仕事が一番適しているといえるでしょう。
研究者
学者
作家
カメラマン
画家
プログラマー
調理師
音楽家
整備士
技工士
デザイナー
などなど・・
このような専門的技術職がよいのではないでしょうか?
前述の偉人たちも専門的な技術を要する仕事についている方が多く見受けられます。
就職にあたり
就職するにあたっては、発達障害であること、そして自分の特性について話をしておいたほうが後々のことを考えたときによいといえるでしょう。
周囲もわかっていれば、対応もしやすいし、理解してもらえます。
知らずにいると、理解されず孤立してまた引きこもりになりかねません。
まずは周囲からの理解と、本人の自己受容、そして自己肯定感が高まれば引きこもりからも脱出できるはずです。
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まとめ
引きこもりの発達障害の割合は多いということがよくわかったと思います。
しかし発達障害かどうか診断を仰ぎ、その特性を理解すること。
そして本人も周囲も受容し、就職する際にも向いている仕事につく。
また隠さず職場にも発達障害であり、特性などを説明しておくなどしておけば、引きこもりの対策になるのではないかと感じました。
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