本から学ぶ機能不全家族が変わるために必要なこと

機能不全家族になりたくてなっている家族というのはないと思います。

今回は西尾和美さんの著書「機能不全家族」ー「親」になりきれない親たちという本から機能不全家族を解消するために親子の人間関係をよくする術を学んでみたいと思います。

親である前に健全な人間であること

「機能不全家族」というの中にまず親が親である前に一人の人間として健全でなければいけないとしています。

そもそも親になったからといって親としてどうあるべきかがわかっている人間などいません。

この本に書かれているように車を運転するには運転免許証が必要だけれど、親になるための免許証はないので、親業を身につけましょうと言っています。

親業とは親業訓練をしめしていて、親業訓練協会というものがあるそうです。

そして、「親」として適切に子供に接するためには健全であるということが必要です。

「機能不全家族」の本には具体的に下記が健全な人間としてのモンタージュとのことです。

  • 自己評価が高い人
  • 他人と対等に話ができる人
  • 自分の考え、態度、行動、言葉に責任をもっている人
  • 自分を大切にし、自分の世話ができる人
  • 自己が確立しており、はっきりとした目標をもっている人
  • 建設的な批評を受け入れ、自分の成長に役立てることができる人
  • 自分と他人の長所や短所を現実的に認識できる人
  • 他人の意見を尊重しつつ、適当な自己主張ができる人
  • 心の平安と落ち着きをもっている人
  • 自分と他人を愛し、大切にできる人を自分のまわりに置くことができる人
  • 家庭や友人、職場での人間関係を大切にする人
  • 感じるべき感情を感じて適当に表現できる人
  • なにかを決断するとき、いろいろな譲歩や方法を考慮に入れ、ゆっくり考えることができる人
  • 自分のことだけでなく、他人の幸せも考えることのできる人
  • 自己を超越した精神性に触れ、人類全体、あるいは地球全体のことを考えることができる人
  • 忍耐強く、負けずに、失敗からも学んでいける人
  • 人生を楽しみ、喜びを生活のの中に組み入れることのできる人
  • 自分と他人の境界線を尊重できる人
  • 自分が間違ったときは直に謝り、つねに相手に対する感謝の念を忘れない人
  • 自分と他人に対して正直で、自分の言葉と行動が一致している人

本「機能不全家族」 西尾和美著より

さて、皆さんはあてはまるものはいくつくらいありますか?

これは西尾さんがご自分のクライエントを対象に調査した結果の人間像だそうです。

これらすべての要素を身に着けた完璧な方はいらっしゃらないでしょう。人格や人間関係を中心に自分がなにをするのかではなく、自分がどんな人間であるかを重視した人間像だそうです。

全くあてはまらないとしても健全な人間像に近づくように努力することで、よりよい人間になることが西尾さんの言う親業の基本とのことです。

また親業は自分を愛し、大切にすることからとも本では言っています。

親が子供に望むこと

  1. 幸せになってほしい
  2. 一人立ちしてほしい
  3. 自分の行動に責任を持てる人になってほしい
  4. 思いやりがあり、愛し愛される人間になってほしい

本「機能不全家族」西尾和美著より

誰でも生まれる前には上記、本に書かれているようなことを願っていたはずです。

しかし親も子供が育ってくるにつれ、五体満足で生まれたことの感謝をも忘れいつしか、自分の理想をおしつけてしまうことがあります。

「こんな成績では一流大学には入れない」

といって過干渉をするのです。しかし親の言う通りに指示に従い続けた結果、親の言うことに対し反論できないどころか、自分の意見を持たず、自立できない人間になってしまいます。

子供に幸せになってほしいから一流大学に入る。有名企業に就職する。

果たしてそれが本当の幸せにつながるのでしょうか?

「機能不全家族」の本の中で西尾さんはこうおっしゃています。

自分が得られなかったものを子供を通じて得ようとは考えないことです。

「機能不全家族」西尾和美著より

 

つい自分は成しえなかったけれども、このほうが良いと、親の人生経験から判断し、子供のためにと思っていることが単に自分の理想の押し付けであったり、自分ができなかったことを子供にさせてその達成感を得ようとしてしまっていることがあるわけです。

よく自分の子供が一流の学校に入り、そのことを自慢する方がいらっしゃいますが、その学歴は言うまでもなく子供のものであって、親のものではありません。

きっとこのような方は子供の学歴をアクセサリーのように思っているのかもしれません。

機能不全家族から脱して健全な家族であるために、親がするのはあくまでも子供が自立し、一人の人間になるためのサポートだと本の中では書いてあります。

そして子供が一人立ちできるようになれば、子離れ、親離れをするはずなのですが、これができずに共依存となってしまう親も少なくありません。

愛情はあくまでも相手のことを思う無性の行為で、コントロールは自分を中心に考えた行為です。

「機能不全家族」西尾和美 著より

この本を読んでいると自分の頭の中でわかっていることが、実に明確に文章にされていると感じます。

子供のためにと思ってアドバイスしていることが、過干渉であり、コントロールになっていることが実際には多いのではないでしょうか?

本当に子供がそれを望んでいるのか、子供の意思を確認することが必要です。

「機能不全家族」の本の中に事例として挙げられているのが、息子の数学の成績が良いために、親は理数系にすすむべきだと主張したところ、息子は自分が本当に好きなのは文章を書くことだと言います。

しかし親は「あなたのことは私が一番よく知っているだから私の言う通りにしなさい」

それでも子供は小説や詩を書きたい。何もわかってないと言いかえし、母親は親にたいしてなぜそんな口がきけるのかとドアを叩きつけるように閉め、息子は息子で、母親を見るだけでむしゃくしゃするようになるほど親子関係が悪くなったということが本にのっていました。

過干渉の影響についてはこちらに書いています。

親が自分の頭の中に勝手につくった幻想ではなく、個性をもったひとりの人間として認識することが先決です。

「機能不全家族」西尾美和著より

この本に書かれているように、子供を個性を持った人間として、接するにはどうしたらいいと思いますか?

つい自分のこどもというたけで、前述のおかあさまのように感情が先行してしまいます。

それを抑えるためにも、本には良いことが書かれていました。

『子供と接触するときは、自分が一番大切にしている友人か先生と向かい合ってると思ってください。そして、子どもが言ったことを、友人や先生が言ったことと考えて、それに対応するようにしてください。』

なるほど、これなら、感情的にならずに個性をもった一人の人間として接することができますね。

子供との人間関係をよくするために

親の権威で子供をコントロールしない

本「機能不全家族」西尾和美 著より

直接的なコントロールはもちろんですが、関節的なコントロールは親が考えるほどの効果はなく将来的には悪弊が多いと本の中で著者は言っています。

直接的コントロールはおわかりですよね。こうしろ、ああしろと指示を出すものです。

関節的なものは「ご近所の〇Xさんは一流企業に就職したそうよ」と言ったり、「お母さんがあなたのためにこれだけ頑張っているんだから」と自己犠牲をアピールして子供に罪悪感を持たせたりすることです。

愛情から保護していくことと、コントロールすることとは、同じではありません。

愛情はあくまでも相手のことを思う無償の行為で、コントロールは自分を中心に考えた行為です。」

本「機能不全家族」西尾和美 著より

本にあるように愛情と勘違いをして、子供のためにとしていることが、自分の理想にほかならいないということがたくさんあると思います。

まだ子供が小さいのだから、親が決めるのが当たり前と思ってしていることでも、向き不向きや子供がそれに興味を示しているかどうかくらいはわかります。

そこを感じとって導くのか、まだ何もわかってないのだから親が決めればいいのよと思うかで愛情からの保護かコントロールかが分かれますね。

本の中で登校拒否(不登校)の例が載っていました。

中学生の女子が理科のクラスで落第点をとり、彼女は担当の先生とウマが合わないのでクラスを変えてほしいと頼んだものの受け入れられず、先生からも親からもわがままだと言われました。

しっかり勉強をしていれば成績は上がる。怠けないで勉強をしなさいと。

しかしこの女子の成績は落ちる一方で次第に登校拒否・不登校になってしまったのでした。親は無理やり行かせたり子供を非難しました。

子供は理科のクラス替えをあらためて頼んできましたが親は応じることはなく、次第にこの子は鬱状態になり表情も暗く、親ともほとんど口をきかなくなってしまいました。

ではいったいどうしたらよかったのでしょうか?

この場合には結局クラス替えをすることで、登校できるようになり、みるみる明るくなっていったそうです。

カウンセリングを受けるなかで、彼女は「お母さんは先生の言うままに自分をしようとしている。ちっとも私のことを考えてくれあない。大人なんか誰も信じられない」といったそうです。

大人からしたらわがままと思える行動でもその子にとってはそれが自分を受け入れられてもらえていない。自分の言うことを誰も聞いてはくれないというネガティブな感情をもつ原因になってしまったのです。

またただクラス替えをしただけでなく、親にも子供をコントロールするのをやめ対等で良好な人間関係を気づきあげなければいけないということを理解してもらったそうです。

この対等というのをつい私たち親は忘れてしまう、もしくは受け入れられないから、コントロールしてしまうのだと、思います。

お互いに一人の人間として尊敬し、信頼しあえる良好な人間関係ができていれば、相手をコントロールする必要はなくなるでしょう。

威圧する親の影響はこちらに書いています。

子供との人間関係をよくするとは子供を改善してやろうとエネルギーを使うことではありません

おたがいに強制されないで、一緒に過ごしたいと思えるような、双方が相手のニーズを認め合えるような環境をつくることです。

本「機能不全家族」西尾和美 著より

本の中では子どもが話しやすい雰囲気を作ったり、親が言ってはいけない言葉や効果的な聞き方や親がついやってしまいがちな言動から生じた弊害の例などの事例を交えながら子供との人間関係を良好にしていく方法も紹介しています。

 

まとめ

「機能不全家族」という本を読んでみて、悩みというのは人それぞれの生まれながらの気質も関係しますが、家族が起因することが多くあるのだとあらためて感じました。

こちらの本は現在書店での購入はできませんので、中古を取り扱うショップなどに限定されてしまいますが、おすすめしたい1冊です。

本を購入せずとも、こちらのブログで大まかな内容をお伝えさせていただいたので、皆さんの悩み解決、家族の関係性改善に役立てば幸いです。

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